再チャレンジ

まだまだ子供だった僕が、ちょっとした悪ふざけで発した他愛ない一言で、クラス一の人気者の座から瞬く間に滑り落ちたのは、中学二年生のときのことでした。

何度か訪れた再起のチャンスをことごとく掴みそこねた僕は登校拒否児童となり、頑張って入学した高校も一年で中退、その後三年にわたる引きこもり生活を経て挑んだ芸大受験にも、やっぱり失敗。と同時に父が大事故に遭い、我が家に多額の借金があることが判明。さすがに甘え続けるわけにはいかないと奮起して就職したデザイン会社も、結局は一年もたたないうちに退社してしまいました。

そんな僕が、家族と一緒に過ごす時間を持ちたい一心で会社を興したのは、今から五年前のことでした。インターネット上で「ロリポップ!」という、当時では珍しかった女性向けのホームページレンタル事業を始めたところ、思いがけず大ヒットしたのです。会社はどんどん大きくなり、今では福岡と東京に、約百名のスタッフを抱える、年商十三億円のIT企業へと成長を遂げました。外に出られず、引きこもってパソコンに向かってばかりいたかつての僕、人の目を見て話が出来なかった僕、何をやっても長続きしなかった僕が、今では「社長」なんて呼ばれている。

改めて思えば、今の僕があるのは何より、どんなときも温かく見守っていてくれた両親の存在があったからこそで、同時に妻や、友人や、会社のスタッフ達との一つ一つの出会いのおかげなのです。

最近よく耳にする”再チャレンジ”という言葉。一度、挫折を味わった人も再起できる社会を築くために、政治に携わる方々が日夜、様々な知恵を出し合われていますが、どれだけ環境が整備されようと、本当の意味で再チャレンジできるかどうかは最終的に本人次第。もう一度立ち上がろうとしたとき、その足元をしっかり支えてくれる身近な人の存在こそ、再チャレンジに何より欠かすことの出来ない大事な要素です。

そういった意味で、僕は政治に携わる多くの皆さんに、何より各家庭における育児支援により一層力を入れて頂きたいとお願いしたいのです。この世に生まれてきた全ての子供たちが、暖かな家族というしっかりした基盤の下でのびのびと育っていくことを願ってやみません。

安倍内閣メールマガジン 第40号 〜覚悟を決めて(2007/08/02)〜 再チャレンジに必要なのは、温かい身近な人の存在(株式会社paperboy&co.代表取締役社長 家入一真)より抜粋

1 Comment so far

Comments are closed.