私とはなにか

平野啓一郎「私とはなにか」「空白を満たしなさい」読了。分人主義という考え方はとても面白い。人は多数の顔を持っている。友人に見せる顔、家族に見せる顔、恋人に見せる顔…。それらの顔は作られたり使い分けたり演じてる訳ではなく、どれも本当の自分だ。付き合う人間の数分、自分の分人がいる。

空白を〜では、自殺とは何かを分人主義で解明しようとしてる。自殺とは、死を切望する1つの分人を消す為に、自分の全存在を抹殺する行為なのではないか、と。自殺願望を持つ自分も、愛や希望の為に生きたいと願う自分も、全部本当の自分。たった一人の自分を消すために、全存在を抹殺する必要は無い。

人は様々な理由で死を望む。いじめにあったり、就活という同調圧力に負けたり、奴隷の様に働かされたり。死を切望する自分も1人の自分。だけどその1人の為に、全存在を抹殺しなくたっていい。死ぬくらいなら逃げろ。逃げて、また違う社会の中で新しい自分を作ればいい。