ペパボ創業から今まで Vol.3: M&Aから上場まで(2)

続きです。これまでの記事はこちら。
ペパボ創業から今まで Vol.1: 創業からM&Aまで
ペパボ創業から今まで Vol.2: M&Aから上場まで(1)
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福岡時代、僕はペパボはいわゆる”ベンチャー企業”では無いと思っていたし、スタッフにもそう言っていた。ITベンチャーで連想される、ヒルズ族、といった様なギラギラとしたキーワードが嫌だったというのもあるし、そもそも会社自体は起業した月から順調に売り上げが伸びて経営は安定していたから、がつがつとする必要が無かった。そもそもの起業したきっかけが「家族といたいから」だったしね。
東京に出てきて、同世代経営者との交流が増えた。福岡時代は周りに経営者の先輩や友達なんかいなかった。社長として社員には言えない様な悩みを共有出来る仲間が出来た。熊谷さんといった、経営者として参考にしたい人物が身近に出来た。今考えると愚かだったなと思うけど、言動や振る舞いといった表面的な部分で「もっと社長らしくあるべき」と勘違いしはじめた。社員に「家入さん」から「社長」に呼び方を変えるように命令した。偉そうに振る舞ってみたりした。
僕は僕のやり方で良かったのに。
僕は熊谷さんにはなれないし、そして、別にならなくて良いのに。
僕らは他の誰かになんてなれないし、ならなくて良いんだ。
会社も大きく変化していった。グループに習って予実管理を行う様になった。雇用規定や給与規定、評価制度といった社内制度が急激に整備されていった。
東京に出てきて、そして東証一部企業のグループ会社になって、僕も会社も急激に変化していた。そして、まだ大多数の社員が残っている福岡支社のみんなと意識がすれ違いはじめた。
そりゃそうだ。福岡の社員はみんな、まだ家族経営的なペパボのままだと思ってるのに、そしてそんなペパボについてきているのに、自分たちの知らない所で、顔の見えない幹部陣に勝手に会社が凄い勢いで作り替えられてるのだ。
福岡支社が荒れ始めていた。「社長が何を考えているのか分らない」「会社の方向性が見えない」「今までのままで良かったのに」といった避難の声が上がってきた。僕は僕で「こんなに頑張っているのに、会社をより会社らしくしていこうとしているのに、何でみんな分ってくれないの!?」と悩んでた。とにかくペパボをちゃんとした会社にしたかった。周りの経営者に追いつきたかった。
会社は、大きくしていく為にあるんだ。
ユーザーを増やして、売り上げを伸ばして、みんなの給与を上げて、社員を増やして、会社を大きくしていくんだ。そしたらみんなハッピーじゃん。
そう本気で思い始めていた。
「家族と、子供と一緒にいるために会社を作った」
そんな僕はもういない。
GMOグループに入った時に、僕は”ITベンチャー企業経営者”になったんじゃないかと思う。
続きます(引っ張ってすいません…)。